一章

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「で、遺言は?」 口の中に銃を入れ、いつも通りのセリフをかました。 ああ、口も利けねえか。なら、もう。 「…………死ね」 引き金に手をかけて、勢いよく引く。 殺される人生なんて、ざまあねえな。 ゆっくり銃を口から引っこ抜く。 銃口を軽く拭い取り、奥へと歩いた。 響くのは俺の足音だけ。 さっきまでの雑音は聞こえて来ない。 騒がしかったはずなのに。 『……彼を離して』 捕らわれやがったな。 『……気をつけてね』 『うーにゃああああああああああ……』 『おいで!』 わざとか? いい仕事だよ、恭介。 『見慣れない人がいくらやっても見慣れないよ。リーダー早く来て!』 「片付け終わってんだろうな。しくじってやがったら殺すぞ」 『リーダー爆薬って好き?』 「あ?」 『いいから応えて』 「そうだな、嫌いじゃねーよ」 何かを投げた直後、爆発音がした。 『僕って悪い子?』 「俺で遊ぶな」 『つまんないの。少しは楽しんでよ』
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