一章

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猫ちゃんが目を覚まして、ガリガリと音を立てながら何かを振り回すのが目に見える。 “鉄パイプ”は恭介が最も好むものだ。 あれば必ず拾って来て引きずりながら、小さな身体で思いっ切り振り下ろす。 持たせたら終わりだ。 気になってたガリガリ音がまさかこれだとは思いもしなかったけどな。 「ぎゃあああああああ!!!!」 「ゆる、許し……」 あーあ、あれは相当(いか)ってるな。 「許さないお」 はは、惨めだな。 恭介を縛りつけるからだ。 何よりも括られるのを嫌う。 傷がつくのが嫌らしい。 「助け……」 「逃げられると思うなよ」 俺と恭介の攻撃は止まらない。 「そこら辺にしとけ。ほら、行くぞ」 「でも、きょーちゃん殴ったお?」 「どうせもう死んでる。そろそろ限界になるころだろ? だからやめなさい」 「……わかった……」
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