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この世界に入って、どれくらいだろうか。
気が狂いそうになる。もう狂ってるか。
至福の時間?
タバコを吸いながら一人でいるとき。
誰にも干渉されずに、過ごせる唯一の時間だ。
壁に寄りかかり煙を吐いた。
生憎、この組織で吸うのはきっと俺くらいだろうな。
「ん?」
顔を上に向けると誰かが覗き込んでる。
不鮮明なガラスだからか、姿が見えねぇ。
灰皿にタバコを押し込むと、喫煙所を出た。
「…………和紗」
「やっぱここにいた」
「…………何だ」
「ごめんね、先生」
「…………何で謝る」
謝られるようなことされた覚えない。
「負傷してたでしょ。僕を逃がしたとき」
コイツ、まさかな?
否定だ。
「嘘! 平然としてたけど、絶対」
まっすぐ俺を見てる目は心配というか悲しげな目だ。
「…………それで、負傷する毎に自分を責めるつもりか? 俺が負傷したのは、自分のせいでって?」
「先生、僕は!」
「…………お前が謝る理由はない。俺一人で何人を相手にすると思う。殺し屋だぞ。あんなの負傷でも何でもない。お前が気にする必要もないんだよ」
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