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例え自分の生き方に誇りが持てなくとも、せめて人様の幸せは喜べる人間でありたい。
希海は心ばかりの祝福を述べると、また何処かで
と形だけの再会を約束した。
*
いつからだろう、遊ぶ事や休む事に罪悪感を
覚える様になったのは。いつ以来だろう、娯楽
施設に足を踏み入れるなんて。
自動ドアが開くと、店内は多くの人が醸し出す
熱と興奮に満ちていた。
メダルの放出音に、プリントシール機のカーテン
から覗く若い女性の足下。多くの人がやり場の
無い思いを、百円単位の娯楽に注ぎ込んでいる。
よく分からないけど、何かワクワクする。どれで
遊ぼうかな。
両替した小銭を握り込み、店内を闊歩する希海。
彼女の視界に一番に飛び込んだのは、ユーザーが
勇者になりきって冒険をするRPGだ。
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