本編

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もしかすると山賊達にも、のっぴきならぬ事情が あるのだろう。でなければ平和な村を荒廃させて まで、食料や寝床を奪ったりしない。 _『無駄な情は、旅には邪魔』。 確かに、カイトの言う通りなんだろうけど…。 鈍い音を立てて首を回し、威嚇する様に指を 曲げ鳴らす野蛮な集団。噂に聞いていた山賊だ。 ゾロゾロと人数を増やす山賊はあっという間に 希海とカイトを取り囲むと、下卑た笑みを浮かべこちらを見下ろした。 「若い女も居るぞ。」 「良い身なりだな、脱いだら高く売れそうだ。」 浅黒い肌に、筋骨隆々とした屈強な体。見た目 だけの男に挑発されて堪るかと気を張るが、視界を塞がれると流石に恐怖心が募る。
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