本編

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『お金の事なら、心配しなくて良いよ。俺くらいの収入があれば、専業主婦でもやっていける でしょ。』 ただ、夫の事は嫌いではない。歩み寄る為の努力もしている。ある日定時で仕事を終え帰って来た夫に色仕掛けも試した。 『お帰りなさい、雅人さん。今夜…どう?』 ジャケットを後ろから脱がせ、ワイシャツの ボタンを外す希海の手に、雅人の手が重なり顔が近付く。期待に胸を膨らませ目を閉じると彼は 冷たく言い放った。 『希海、パート始めるんだろ。もしも今授かったら先方に迷惑がかかるんじゃないか。』 は?何、それ…。こっちはご飯作ってお風呂沸かして、帰って来るかも分からない貴方を待ってるのに。 希海は反論すら呑み込むと、布団に潜り枕に顔を 埋めた。
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