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そう自覚した瞬間、脳が酷く揺れた。
間髪いれずに、激痛に突き抜ける。
脳をキャベツに見立てて、一枚一枚剥がされていくかのような痛み。
私の足が、自然と動き出す。
どこに向かうのかも、何をするのかも、頭に浮かんでくる。
だけど、私の意思じゃない。
まるで寄生された虫みたいに、勝手に体が突き動されているのだ。
『素敵なあなたに質問です』
オッサンの声が聞こえた。
どこから声が聞こえているのかもわからない。
思考が全くまとまらない。
『この世界で、最も〝日常〟と言えるものは、何でしょうか?』
わからない。
私は頭を横に振った。
『仕事ですか? 私生活ですか? 一服ですか? 趣味ですか?』
また、頭を横に振る。
今度は無意識に。
『どれも違いますよね。確かに〝日常〟ですけど、それらがなくても〝日常〟は成り立ちます』
そうだ。
〝日常〟とは、もっと普遍的なものだ。
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