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4人一丸となって歌い続けた俺達。
生徒たちは黙って聴いてくれている。
と、その時、静穏だった校庭に、そよ風が吹き始めた。
お袋が起こした奇跡が移ったのか?
それとも只の偶然か?
歌がサビに入る頃には、そよ風は強い風になっていた。
俺も。
鈴木も。
山村も。
香澄も。
皆、風に掻き消されないように校庭中に、歌声を響き渡らせた。
響け!
もっと響け!
俺達4人全員の4つの歌声!
俺達は歌う。
それぞれの思いを交錯させて。
俺達の物語が結び付き、歌えば歌う程、不思議と希望が溢れてくる。
と、生徒たちも一緒になって歌い出した。
校庭を駆け巡る大合唱。
音楽は素晴らしい。
色々あったが、歌ってきて良かったと思える瞬間だった。
金にならなくても、歌を歌えるだけで、こんなにも皆が1つになれる。
やがて、歌が終わると生徒たちから、「もっとー!」とアンコールが掛かった。
舞台の横に控えている校長に視線を送ると、「良い」という様に大きく頷いた。
再び歌い始める俺達。
今度は最初から生徒たちも一緒に歌う。
一旦、止んだ風が又、吹き始める。
俺達は腹の底から声を張り上げて歌った。
俺達4人の歌声が、それぞれの物語を繋ぎ、新たな旅立ちへと誘う幕が上がるのであった。
完
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