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4.僕の世界の中心は
「───……なに? どうしたの?」
すっかり冷めてしまったオムレツを、電子レンジで温めて、まいさんと向かい合う夕飯。
おかわりの入ったお茶碗を受け取って、またオムレツに箸を差しこんだところで、まいさんの視線に微笑んで尋ねる。
僕がまいさんを見つめ続けることはあっても、その逆はあまりないから───僕はわざと気づかない振りをして、まいさんの物言いたげな眼差しを独占していた。
まいさんは、僕のうながしを待っていたようで、間、髪を入れずに言った。
「あんた……いつもアレ、持ってるの?」
「あれって、コンドームのこと?」
僕の答えに、まいさんの手からごとんとお茶碗が転がり落ちる。
……ええっと、訊いてきたのは、まいさんのほうだよね?
苦笑いしながら、まいさんの質問の意図を考える。
うーんと……学校から帰って来て、着替えもしないでいたから───。
「……持ち物検査されたら、お父さんが学校に呼ばれちゃうかなぁ?」
ふふっと笑う僕を、まいさんはうろんな目付きで見返してきた。
「なんで、学校に……持っていく必要なんか、あるのよ?」
あれ? まいさんが気にしてるのって、持ち歩いてる理由なのかな?
「なんで、って……。
だって、今日みたいに、急にまいさんとエッチしたくなったら困るでしょ? だから」
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