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にっこりと笑ってみせた。
他に理由なんて、あるわけなかった。
こんな単純なこと……なんでまいさんには解らないんだろう。
「あんたって……」
言ったきり、絶句するまいさん。
困ったな、こんな言葉が聞きたかったわけじゃないのかな?
まいさんは思いだしたように、食事に戻った。
釈然としない様子のまいさんに、僕は口を開く。
「ねぇ……まさかとは思うけど……。まいさん、僕が浮気してるとか、思ってたり……する?」
探るように、まいさんを見つめる。
一瞬だけ動きを止めて僕を見返したまいさんは、気まずそうな表情で僕から視線をそらした。
「───だって、あんた、すっごくモテそうだし。なんか……そういう誘惑多そうじゃない。
あ、だからって別に、あんたが学校でエッチしまくってるんじゃないかとか、そんなこと思ったんじゃないから……って! もうっ……、私、なに言ってるんだろう……。
───あーっ、ゴメン! いまの話、全部忘れて!」
まいさんの言葉は支離滅裂で。とうてい、論理的とは言い難くて。
なのに、僕にはまいさんが、
「本当は何を一番に伝えたいのか」
が、解ってしまった。
……僕の脳内にある『まいさん語翻訳機能』は、とてつもなく優れているようだ。
……なんだか少し、胸のあたりがくすぐったいな。
「……忘れないよ。それって、ひょっとしなくても……まいさんのヤキモチからくる言葉でしょう?」
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