64人が本棚に入れています
本棚に追加
ふわふわとした不思議で愛しい感覚でいる僕とは対照的に、まいさんは、たえきれないといわんばかりに、自分の両耳をふさいで頭を抱えた。
「うーっ。やな女だよね、私! もう、これだから恋愛モードに入るのって苦手なのよーっ。
私、人好きになると、ホント独占欲強くなって……自分でもヤんなるっていうか……。
あーもう、嫌ッ。こっち見ないで、さっき言ったこと、全部なしにするから!」
ガタンと椅子を引いて、まいさんはテーブルと平行に頭を下げた。
見ないでって言われても、こんなに可愛いまいさんを、僕が見ないでいられるわけがないのに。
ちょっと笑って箸を置き、立ち上がった。
テーブルを回りこんで、まいさんの側にひざまずく。
伏せられたまいさんの顔を下からのぞきこんだ。
「ねぇ……まいさん? 前に僕に、夢や希望を描いて欲しいって、言ってくれたよね?
あれって……もっと自分の世界を広げて、いろんな人と関わったほうが良いっていう意味も、あったんだよね?
だけど、やっぱり僕の世界の中心にあるのは、まいさんでしかなくて。
夢も希望も……未来も、そのすべてにおいて、まいさん抜きでは考えられないんだ。
だって僕は、まいさんが好きで好きで……好きで、たまらなくて。何をしても、どこにいても、まいさんのことで、いっぱいなんだ。
最初のコメントを投稿しよう!