4.僕の世界の中心は

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この気持ちをどうやって、まいさんに伝えたらいいのか……どうやったら、とりこぼさずに全部、まいさんに伝えられるのか。毎日、考えているんだよ?」 眉をぎゅっと寄せたまま、涙目でまいさんが僕を見下ろした。 不安と自己嫌悪が交錯した、痛痛しいくらいに美しい表情(かお)が、そこにはあって。 僕は思わず、自分の耳を覆ったままでいる小さな手に、指を伸ばした。 初めて会った日に、僕の手を握ってくれた、その手のひらを引き寄せる。 やわらかく温かい手は、変わらないのに……僕の手だけが、あの日よりずっと大きくなっている。 ───あなたに想いを重ねた分だけ、確実に。 引き寄せた手のひらを、今度は僕が、両手で包みこむ。 僕の気持ちも……このぬくもりと同じように、あなたに伝わるかな? 「だから、ね、顔を上げて。僕を見て。 あなたの瞳に映る僕だけが……僕の真実なんだ。 あなただけしか見えない……他の人からしたら、可哀想なくらい、愚かで滑稽(こっけい)な生き物で。 だけど、僕自身からすれば、このうえない幸せな日々を生きている、あなたに恋い焦がれる、ただのひとりの男なんだよ」 まいさんは、泣き笑いを浮かべた。小さく、息をつく。 「……よくもまぁ、それだけ口からペラペラと言葉がでてくるわね?」 いつもの憎まれ口に、僕は、ふふっと笑ってみせる。
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