2.僕の日常

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2.僕の日常

***** 端末機の向こうから、あきれたような響きの声が、僕をいましめる。 「お前な……物事には限度ってもんがあるだろーが。そりゃいくらなんでも、行き過ぎだろ。 つか、そーゆーの、世間でなんて言われてるか、知ってるか? ストーカーっつうんだぞ、嫌われる男の典型じゃねぇか。 やめろやめろ、いますぐ家に帰って、クソして寝ろ」 「……(とおる)さんには解らないよ、僕の気持ちなんて。 まいさんみたいな可愛い女性があんな暗い夜道を一人歩きするだなんて。 いままで何事もなかったことが、奇跡なんだからね? きっと、まいさんの日頃の行いが良いから、神様が守ってくれていたんだよ。 でも、いまは、僕がいる。 僕が側で、まいさんを守ってあげられる。 それを実行して何がいけないのか……世間がどう言おうが、関係ないよ」 「───……あー……。 だから、これからもその『カミサマ』とやらが、オネーサン守ってくれるだろーよ。 心配すんな、お前は家で大人しく、オネーサンの帰りを待ってりゃいーんだよ」 ……透さんは、意地でも僕を、家に帰らせたがっていた。 その真意が、僕にはさっぱり解らない。 僕がまいさんの仕事帰りのボディーガードをするのは、もう何ヵ月も前からの、当たり前の日常なのに。 面白くない気分で携帯電話を持ちかえる。 柱の陰から、『焼きたてシュークリーム』の店の方角を見やった。
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