2.僕の日常

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僕のいるセンターコートの片隅から、小さなモミの木に、飾り付けを行っているまいさんの姿が、見える。 この時間帯、まいさんが一人で店番をしているのは、知っていた。 ……本当は、お店の閉店作業を手伝いたいけど……。 一度さりげなく提言した僕を、まいさんはあっけなくそっけなく、断った。 「ダメ。あんたにやるバイト代なんて、ないから」 「えっ? お金なんて、いらないよ? そういうんじゃなくて、僕は単純に、ボランティア精神で……」 「仕事は遊びとは違うの。必要ない」 ───僕のたいていの我がままは、 「仕方ないわねぇ……」 って、嫌々ながらも聞き入れてくれるのに。 まいさんは、こと仕事に関しては頑として譲らないところがある。 そういう『プロ意識』をもつまいさんは、素敵だと思うけど……やっぱり、なんだか寂しかったりもする。 なんていうか……たまには、そういう『ずる』も、必要なんじゃないかなって、思ったりもするし。 だけど、他の人が当たり前に『こズルく』生きているのを横目に、潔く格好よく生きているのが、まいさんって人だから。 そして僕は、そんなまいさんが大好きで。だからこそのジレンマだったりもするんだ。 「そんなことより、僕がこのあいだ頼んだ件、どうなったの?」 視界にまいさんを入れたまま、強引に話題を切り替える。 透さんは、大げさな溜息をついたあと、(わり)ィな、と、低い声で謝った。
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