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「オレにはよく解んねーんだけどさ。
卒業製作だかなんだかがあって、ソレの目処がついてからじゃねーと、作業に取り掛かれなさそうなんだと。
だから、早くて来年の二月下旬……遅いと、三月中旬になっちまいそうだって。
どうする? クリスマスなんて、到底ムリっぽいぜ?」
……あ、閉店間際のこの時間にギフトのお客さんだ。
うわ、これ、けっこう時間がかかるんじゃないかな。
中年女性がギフトコーナー側で何やら注文したのに対して、まいさんは笑顔で受け答えたあと開いた左手に右手の人差し指をつけてみせた───六箱ってことだよね。
どうせ来るなら、もっと早く来ればいいのに……!
「……遅いよ、まったく」
「だよな。じゃ、なかったことにするからな」
悪態めいた僕のつぶやきに、透さんが反応してきたのに気づいてあわてて否定する。
「違う違う、いまのは僕の独りごと。
指輪の件は……うん、解った。二月下旬から三月中旬までには、用意してもらえるんだよね? いいよ、それで」
「クリスマスプレゼントじゃなくて、いいのかよ?」
心底驚いたように、透さんが訊き返してくる。
「ん~、まぁ、世間一般には、定番はクリスマスなんだろうけど……。
どの道、まいさんにとってクリスマスって、あんまりロマンチックムードに浸れる時期じゃないだろうしね。
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