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日付とかにこだわって、有り合わせの物を用意するより、本当にまいさんが喜んでくれそうな物を、きちんと用意したいから。
このあいだ送ってもらったデザイン画、すごく良かったし。時間かけて作ってもらう価値はあると思うんだ。
だから、見積りとか早めに教えてもらえると、助かるかな。バイトもしなきゃいけないし……うん、むしろ好都合かも」
「───そっか、解った。じゃ、予定通り、進めといてくれって伝えとく。
で、お前、バイトって何するんだよ?」
「ああ、うん、この前サヤちゃんのお母さんに偶然会ってさ……」
言いかけた時、閉店を告げる館内アナウンスが流れた。
僕のいるセンターコートには、僕の他に客はいなかった。
まいさんは、まだせっせとギフト包装をしていて。
真剣な横顔に「頑張って」と念だけ送って、僕はいったんショッピングセンターの外に出た。
*****
「あのさ、まいさん」
従業員専用の駐車場へ向かう、いつもの夜道。
最後のギフトのお客さんのせいで 大幅に遅れた帰宅時間に、まいさんが軽く愚痴るのを聞いたあと。
あまりにも透さんにしつこく言われすぎて、僕は思いきって、まいさんに尋ねてみることにした。
「僕がこうやって、まいさんを迎えに来るのって……ひょっとして、迷惑だったり……する?」
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