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10.僕の終わらない夢
お正月ムードもすっかり過ぎ去って、学校も始まって。
まいさんとの楽しいバイト生活もあっという間に終わってしまった。
「───あんた、またバイトするんだって?」
夕食後、リビングでバラエティー番組を観ていたまいさんが、思いだしたように声をかけてきた。
僕は、まいさんと自分のために用意したココアの入ったマグカップを持って、まいさんの隣に腰かけた。
「うん。……お父さんから聞いたの?」
学校へのバイト許可申請に保護者の同意が必要で、お父さんには話していたけど、まいさんには話していなかった。
お父さんは、昨日の晩からまいさんのおばあちゃん家──つまり、お父さんの実家に年始を兼ねて里帰りしていた。
「まぁね。
……あんたの小遣い少ないのかって相談されたから、社会勉強したい年頃なんでしょって言っといてあげたわよ。
なに、よっぽど高くて欲しい物があるの?」
マグカップを受け取りながら、興味深そうに僕を見るまいさんにごまかすように笑った。
「うん、ちょっとね」
まいさんへのプレゼントのためだよ、なんて正直に言ったら、絶対まいさん、
「いらんことすんな」
って言いそうだから、口が裂けても言えないな。
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