10.僕の終わらない夢

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「まいさん、ごめ───」 「そこ、謝るとこじゃないからね?」 まいさんの肩口に手をかけたとたん、顔を伏せたままの状態のまいさんから、じろりとにらまれた。 「あんたに、ちょっと特別な女の子がいたって、そんなこと……なんの不思議もない話だし。 むしろ今まであんたの口から、女の子の名前がでてこなかったほうが、不自然なくらいだったんだから。 これは……私の自分勝手な独占欲からくる、嫉妬なのよ。 ───醜いうえに、なんて心が狭いの、私! もうっ……、ホントにヤな女!」 途中から悔し泣きをするような声音になるまいさんの様子に、せつなさと愛しさが奇妙に入り混じって、僕の胸を焦がした。 まいさんの肩を抱き寄せずには、いられなくなる。 「……あのね、まいさん。本当に嫌な人間は、自分のことを『嫌な奴』だなんて、省みない人のことをいうんだよ? 第一、それを言ったら僕だって」 言いながら、テレビのリモコンに手を伸ばし、電源を落とした。 「……まいさんが好きな芸能人が僕と全然違うタイプで、正直、面白くないんだよ」 「…………あんた、どっちかっていうと、王子系だしね」 「───自分が男っぽい顔立ちじゃないのは、重々承知しているからね。 もう一人のほうが好き、って言われてれば、ちょっとは気分良かったけど」 僕の言葉に、くすっと笑うまいさんに、ほっと息をつく。 ……良かった、笑ってくれて。
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