2.僕の日常

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以前は確かに、まいさんに嫌われたって構わない、と思っていた。 ───正確にいえば「嫌われる覚悟で」いろんな行動を起こしていた。 だって、「姉弟なら」たいがいのことは、次の日には「ゆるされる」ような気がしていたから。 血のつながりがあるということは、僕にとって、 「相手に対しての許容範囲が無条件に広がる」 というもので。 だけど、いまの僕たちは、まいさんの言葉を借りれば、 「ただの年の離れた男と女」 なわけだから。 僕は、あの日からずっと、 「まいさんに嫌われないような」 ギリギリのラインを慎重に守りながら、まいさんに接していた。 けれども。 「────は?」 まいさんは思いきり顔をしかめて、僕を見上げてきた。 その表情は、もう何度も見せてもらってきたものだけど、やっぱり、とてつもなく可愛いくて。 一瞬、ぎゅっと抱きしめたい衝動にかられたけど、あまりにも脈絡がなさすぎることに気づいて、僕は必死で、そんな自分を抑えこんだ。 「バッカじゃないの、あんた」 直後、まいさんの口からでてきたのは、そんな言葉だった。 僕は、まいさんの僕に対する「バカ」という呼びかけが、好きだった。 そう言われるたびに「愛してる」って、遠回しに言われてる気がしたから。 透さんは、 「お前それ……幻聴だろ。つか、脳の構造ダイジョブかぁ? いったい、どんな翻訳機能がついてんだよ?」 なんて、あきれていたけど。
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