10.僕の終わらない夢

10/11
58人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「───……さて、と」 まいさんから、いたずらな微笑みが向けられる。 「まずは、『イケナイ夢』の続きから、見る……?」 冗談まじりのささやきが、僕の唇に降りてきて。 感じる吐息が、甘くせつなく、僕の舌を溶かしていく。 ───もうこれが、夢でも、現実でも、構わない。 側に、まいさんが、いてくれるのなら……。 ***** 「はい、到着。 学生の本分は、勉学につとめることなんだからね! しっかり頑張ってきなさいよ」 僕の高校の裏門まで着けて、まいさんが車を停める。 ……本当に、まいさんは僕のために、いろんな顔をもっていてくれて。 僕は、どれだけ感謝をしても、したりないくらいで。 どうやって返したら、まいさんの想いに、報えるんだろう? ───僕は、まいさんを想うことくらいしか、できないのに。 「……えっちな勉強はもうしたから今日はあと、真面目な勉強だけだね?」 ふふっと笑ってみせると、まいさんは心持ち赤くなりながら、僕をにらんだ。 「おかげで運転するのに、楽じゃないわよ。もうっ……私、朝からナニしてんだろ……」 ハンドルに腕を預けて、まいさんは遠い目をする。 僕は思わず、くすっと笑った。 「ひどいなぁ……朝は、まいさんからのお誘いだったのに。 《おかげで僕は》、ものすごく良い気分で登校できるんだよ? ───まぁ、それがまいさんの素敵なトコロでもあるけどね。 ……行ってきます」
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!