3.まいさんとの『秘めごと』

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「あーっ! 進藤くん、待って待って~。 ね、終業式の日に、クラスの何人かでクリスマス会やる予定なんだけど、来ない?」 「───悪いけど、本当に急いでるんだ。あと、そういう皆で集まって何かするとか、興味ないから」 追いかけて来た彼女に、はっきりと断ると、踊り場に残されたもう一人の女子が、大きな声で言った。 「ほらな~、進藤は付き合い悪いの分かってるんだから、誘うだけ無駄だって」 「でもぉ……」 なおも言い募ろうとする彼女を尻目に、僕は階段を降りて行く。 ……バスの時間ぎりぎりなのに、無駄な時間とられちゃったな、と、思いながら。 ***** 玄関の扉を開けると、良い匂いがした。 ……これは、オムレツかな? ダイニングキッチンに直行して声をかける。 「ただいま」 フライパンから、黄色い楕円形の物をお皿にすべらせているまいさんが、僕に向かって微笑む。 「お帰り。ご飯すぐに食べる?」 「ううん、先に、まいさんが食べたい」 「────アホなこと言ってないで、うがい手洗いしてきなっ」 「……はぁい」 半分以上は本気の僕の冗談は、たいがい低い怒声ではねつけられる。 でも、返される言葉はきつくても僕をにらむまいさんの頬は、照れを含んで、わずかに赤い。 そんなまいさんの反応を見たくて、わざと怒らせるようなこと言ったりする僕を、まいさんは気づいているのかなぁ?
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