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8月
引っ越しの日、駅まで見送りに行った。
「じゃ、あっち着いたらLINEする」
「うん」
泣かないと決めていた。
でも、小弛には見抜かれてしまう。
「時間作って帰ってくるから」
「うん」
ぎゅっと抱きしめられた。
「泣いてよ」
ぎゅっと返して、声を出さずに泣いた。
私の代わりに蝉たちが盛大に鳴いている。
小弛…小弛…
電車が見えなくなるまで手を振った。
ギラギラと刺す様な日差しがあっという間に涙を乾かしていく。
「バイバイ…小弛」
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