3月

2/2

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
昨年末、パパの単身赴任先に家族みんなで引越した。小弛が転校した時にそうした方が良いと思って私がお願いしていた。 小弛がいなくなってからもずっと側にいてくれた拓郎君とは、ある日を境に気まずくなってしまった。一緒にいたらきっと幸せになれる…大切にしてくれる人だと思う。だけど… 報われない相手を想ってこの先ずっと生きていくと分かっていても、私に彼の手を取る選択肢はなかった。 年明けからはずっと欠席してそのままフェードアウトした。惜しむ別れもなかったから、卒業式にも行かなかった。 新しい環境での新しい生活。 小弛との事を吹っ切るために「さよなら」の一つも言わないまま連絡を絶った。小弛、怒ってるかな?それとも、私の事なんかとっくに忘れちゃってるかな? あ、ダメだ。なんか…なんて言ったら。ちゃんと自分に自信持たなくちゃ、だよね…。 小弛のデビュー曲は夢や希望に満ち溢れた曲だった。遠く遠く離れていても…今も変わる事なく、毎日元気を貰ってるよ。 大学に入って、自己紹介ですぐに耳の事を話した。みんな大して気にもせずに接してくれた。麻衣にも、初めから話していたら良かったのかも知れない。今ならそう思える。 小弛…あなたが私の世界を変えてくれた。言葉で言い尽くせないほどに大切な人。 ありがとう。 大好きだよ。小弛。 ずっとずっと大好きだよ。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加