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6月
…
入学してすぐに仲良くなった"親友"の麻衣とは
2年になっても同じクラスになれた。
今年も楽しい毎日を過ごしていくんだと、疑いもしなかった。
「友音〜‼︎」
「オッケー‼︎」
「ナイッシュー…イエー。」
6月下旬のその日の体育は5回目のハンドボールだった。私たちは負け知らずの最強コンビで、我がBチームは最下位がやる後片付けとは無縁だった。挨拶を終え、更衣室に向かって歩き出したその時…男子の蹴ったサッカーボールが飛んできて、私に当たった。
ちょうど私の右耳の部分に、当たってしまったんだ…。
「友音、危ない‼︎」
誰かの声と同時に強い痛みが走った。動けずにいる私の右耳の部分に麻衣が手を伸ばし、そしてバッと引いた。目に焼き付く拒絶の表情。
「まっ…」
「友音、あんた…」
掻き上げられた髪の間から露出した見苦しい異物に、幾つもの悲鳴が上がった。
私は無我夢中で走り、更衣室と教室の荷物を引っ掴んで校舎の端のトイレに向かった。そして着替えた後、そのまま逃げるように学校を出た。
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