6月

1/3

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ

6月

… 入学してすぐに仲良くなった"親友"の麻衣とは 2年になっても同じクラスになれた。 今年も楽しい毎日を過ごしていくんだと、疑いもしなかった。 「友音〜‼︎」 「オッケー‼︎」 「ナイッシュー…イエー。」 6月下旬のの体育は5回目のハンドボールだった。私たちは負け知らずの最強コンビで、我がBチームは最下位がやる後片付けとは無縁だった。挨拶を終え、更衣室に向かって歩き出したその時…男子の蹴ったサッカーボールが飛んできて、私に当たった。 ちょうど私のに、当たってしまったんだ…。 「友音、危ない‼︎」 誰かの声と同時に強い痛みが走った。動けずにいる私の右耳の部分に麻衣が手を伸ばし、そしてバッと引いた。目に焼き付く拒絶の表情。 「まっ…」 「友音、あんた…」 掻き上げられた髪の間から露出した見苦しい異物に、幾つもの悲鳴が上がった。 私は無我夢中で走り、更衣室と教室の荷物を引っ掴んで校舎の端のトイレに向かった。そして着替えた後、そのまま逃げるように学校を出た。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加