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「ちょっ、教科書貸して。あんたは隣に見してもらってよ」
右隣のギャルから一方的に教科書を借りて、左隣とくっつけた机の真ん中に置いた。
俯いていた神崎友音がビックリして顔を上げた。
泣いてはいなかった。
いっそ泣いていてくれた方が良かった…そう思うくらいの表情の無さに、胸が痛くなった。
「借りた」
気の利いた言葉が浮かばなかった。
でも、笑ったんだ。
「ありがとう」
って、笑ったんだ。
「先生とか、知ってんのかよ?ちゃんと…」
「大丈夫。大丈夫だよ」
俺の言葉を遮って、神崎友音はきっぱりと言った。
さっきとは違って、力に満ちた目をしていた。
こいつ、強いな。そう思った。
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