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◇ ◇ ◇
《陽奈ちゃん、今案内送ったけど今度小学校の同窓会があるの。五月の連休に。来るよね?》
まだ馴染んだとは言えない、東京の自分の部屋で受け取ったメッセージ。
転校してからもずっとやり取りが続いている一人、有香の誘いに動揺する。
《え、行きたいけど、……いいのかな?》
もちろん行きたかった。でも卒業もしていない陽奈が顔を出していい場だろうか、と迷ってしまう。
《いいに決まってんじゃーん! 出欠はこれからだけど、あたしが直接聞いた限りでは結構集まりそうな感じよ。》
《奈々子も来るって! まどかみたいに遠くの大学行った子なんかは無理だけどさあ。》
明るく不安を消してくれる有香のメッセージに、自然笑みが溢れた。
《ありがとう。じゃあ行くわ。》
念の為にメールで送られて来た「同窓会の案内」に目を通し、不都合がないことを確認して承諾の返事を送った。
小学校の同窓会。
彼、は来るだろうか。
もし来たとしても、向こうが陽奈を覚えているか、……気にしているかもわからない。
それでも、こうして東京に「戻った」からこそ巡って来た機会には違いなかった。
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