大好きだよ

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大好きだよ

引っ越しても引っ越しても着いてくる、俺の『元』彼女。所謂ストーカーというヤツだ。 「最悪だ・・・。最悪だ! なんなんだよお前!」 「ねえ、どうして逃げるの?」 「どうやって家の中に入ったんだよ! 出ていけよ!」 「私はちぃ君のことが死ぬ程好きなだけだよ。ねえ、逃げないでよ」 「悪かったよ、なあ。でもな、お前、いい加減にしろよ! こんなの犯罪だぞ!」 「ちぃ君、私は浮気されても、こっぴどく振られても、ちぃ君のことが好きなの。ねえ、逃げないで?」 「お前のせいで何度引っ越したと思ってるんだ! いくら金かかったと思ってんだよ!」 「ちぃ君、ちぃ君・・・」 「お前、マジで、マジでいい加減にしろよ!」 「私を愛してよ、ちぃ君」 「・・・痛い目に遭わないとわかんねえのか? これ、不法侵入だからな。しかもストーカー! 俺が浮気して振ったのが悪いと思って警察にも行かなかったけど、もう警察に行くから!」 「あははっ! 無駄だよ!」 「なに、なに笑ってんだよ! いい加減にしてくれ!」 「ちぃ君、地獄の果てまで追いかけ回してあげる」 「・・・お前、男を舐め過ぎ。これ『正当防衛』だから。お前のことボコッてから警察呼ぶわ。マジ死ぬ程痛めつけるから勘違いもこれで最後にしろよ、ブスがッ!!」 俺はブスに手を伸ばした。 その手は、透けた身体を貫通した。 ぞっ、と鳥肌が走る。 「・・・ね? 無駄だよ、ちぃ君。私は、死ぬ程、ちぃ君のことが好きなだけだよ。だから、ちぃ君がどこに居ても追いかけ続けるよ。地獄の果てまで、ずっと、ずっとね?」
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