エピローグ:乙女ゲームは早くもハッピーエンドを迎えました

3/6
前へ
/149ページ
次へ
 突然――本当に突然、俺とユリシーズの死角に何かの気配が現れる。  と同時に、「そのことなんだけど」と言う声がして……。  俺とユリシーズがバッと振り向くと、そこにいたのはやはり、ロイドだった。  なお、ロイドの左手にはいくつものシュークリームが乗った皿があり……。  その姿に、俺は突っ込まざるを得ない。 「――おっ、お前! 今どこから出てきた!? いつからそこにいた!? ってか、その皿どこから持ってきたんだよ……!? お前、マリアから謹慎くらってたはずだろ!?」  ――そう。  ロイドはキッチンからお菓子を盗んでいたことがマリアにバレて、三日間の謹慎を命じられたのだ。  にも関わらず、ロイドは俺たちの前にいる。 「お前、謹慎の意味わかってないの?」  唖然とする俺に、平然と答えるロイド。 「え~? だって、すっごくいい匂いがしたから」――と。  その答えに、俺は脱力した。 (突っ込むだけ無駄だ。つーか、突っ込んだら負け……)  そう思ったのは俺だけではないようで、ユリシーズも深い溜め息をついている。  ロイドは、シュークリームをもぐもぐと頬張りながら続けた。 「アレクの身体のこと、誰にも内緒だからね?」と。 「――あ? ああ、当然だろ。俺だってリリアーナに変な心配かけたくないし。お前も、魔法を使ったことがマリアに知られたらマズいんだろ。わかってるよ」
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加