プロローグ

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プロローグ

『おぉっと!ここで飛び入り参加かー!?』  どよめく観衆。  湧き上がる熱気。 『今回も誰も「花」を開花出来ておりません!我こそはと突然現れた少女…で良いのでしょうか、彼女に期待しましょう!』  オォォォッ…!  歴史の教科書で見た、コロッセオのような屋外会場。  気がつけば私はその広場の地面に座り込んでいた。  円形の広場の中央には、見事な彫刻が施された大きな植木鉢に1本のバラらしき花の大きな蕾。  その周りに群れる、ヒラヒラと金魚のような衣装の美しい女性達。 『さぁ、あなたの聖なる踊りで開花させてください!』  踊り?踊りで開花!?  そんな国民的アニメを昔観たことあるけど、どんな踊りだったか覚えていない! 『さぁ、どうぞ!』  どうぞって……いきなり言われても踊れるかぁ!  どんどん熱が冷めていく観衆。  ここで踊らなければ、次第にブーイングへと変わるだろう。  私は唯一踊れる曲を思い出し、立ち上がった。  観客席の主賓っぽい人たちに向かって、制服のスカートの裾を持ち上げ一礼する。  肩まである髪を両手でかき上げ、姿勢を正す。 「腕を上げて大きく背伸びの運動ー!!」  ……あ、これ踊りじゃなくて、体操だったわ。  それでもオイッチニ、サンシと精一杯私。  当たり前のように歓声はブーイングとなり、私は会場からつまみ出された。  N◯Kさん、ごめんなさい…。
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