なんでこうなった!?~転生初日~

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なんでこうなった!?~転生初日~

 あまりの急な出来事に驚きすぎて疑問も持たず順応してしまったけど、つまみ出され、今が異常事態だという事に気がついた。  ここ、どこよ!?  コロッセオは森に囲まれているのか、木、木、木。  ビルもお店も道路もない、あるのはコロッセオの外壁と森への入り口だけ。  遠く微かに鳥の鳴き声が聞こえる。  ちょ、ちょっと落ち着こうか…。  肩にかけていた、通学用の鞄に入っていたペットボトルの水を飲む。  ぬるいながらも確かな水の飲みごたえ、夢じゃない。  携帯電話での位置情報を確認するも、エラー…なのか?文字化けして読めない。  え?なんで?携帯、壊れた?  それともこの辺り、電波が届かないの?  って、さっきまで私、市街にいたのに!  もしかしたら、この森を抜ければ電波が届く場所に辿り着くかもしれない。  私は意を決して森に一歩足を踏み入れた。  ―――ザザザッ。  森に入った直後、背後で音がしたので振り返ると、私が入ってきたはずの森の入り口が無くなっていた。背後には初めからあったかのように樹木が並ぶ。  今…そこから私、入ってきたよね?  不可解な出来事にドキドキ…と心臓が激しく鼓動する。  まるで前へ進むしかないのだぞと言わんばかりの、いつのまにか足元まで生えている草木。  目の前には薄暗くて先が見えにくいが1本道が続く。 「仕方ない、進むか」  見えない何かに誘導されている感半端なかったけど、もしかしたら『ヘンゼルとグレーテル』に出てくる『お菓子の家』に辿り着くのではないかと、期待しながら歩みを進めた。
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