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私は歩きながら、コロッセオで踊る前までの自分の行動を思い出していた。
平坂 緒子羅、高校2年生。
とんでもない名前のせいか食べることが大好きで、同級生の女子がメイク用品にお金をかけるのを惜しまないように、私は話題のスイーツにお金をかけることを惜しまない17歳女子。
今日も学校帰りに期間限定の『バリ旨ダブルナッツドーナツ』を1個お買い上げして、気分よく帰る途中だった。
先ほど水を飲むときに、鞄にドーナツが入った紙袋がちゃんとあることを確認した。
ちなみにこの『バリ旨ダブルナッツドーナツ』の購入は今日で3回目だ。
甘すぎず、香ばしく食べ応えがあり毎日食べられる美味しさで、期間限定なのが勿体ないと感じていた。
「緒子羅は痩せたほうが絶対可愛いのに」とよく言われるけど、痩せることをスイーツが許してくれないんだ。スイーツが売っていない、よほどの辺境の地に飛ばされることでもない限り、私が痩せるなんてあり得ない。
あ。もしかして、ここが辺境の地?
私の血の気がサッと引いた。
もしかしてテレビか何かの企画で、私が痩せるまでこの辺境の地から脱出できないとか!?
それは困る!
早く家に帰らなくては『バリ旨ダブルナッツドーナツ』の販売期間が終わってしまうではないか!
私はいても経ってもいられなくなり、走り出した。
走っても、走っても続く1本道………。
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