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―――ん?今、何か聞こえた気がする。
見た目の割には体力がある私は、多分15分くらい走り続けて足を止めた。
振り返ると、私の真後ろではなく少し離れた場所まで草木が迫っていた。
そしてその脇に、小さな人が1人うつ伏せで倒れていた。
え?もしかして『白雪姫』に出てくる小人!?
「あの、大丈夫ですか!?」
私は来た道を少し戻り、小さな人に駆け寄る。
服装が昔の洋服っぽくて、本当に絵本の小人のようだ。
ゆっくり起こすと、その正体は小さなおじいさんだった。
顔が真っ青で、今にも魂が抜けそうな表情をしている。
とりあえず生きてはいるようだ。
「おじいさん、お家はどこですか?送りますよ」
おじいさんがうっすら目を開け、呟く。
「はぁ……お主は…。あぁ、ワシの家はそこじゃ…」
指さす方向を見ると、小道の脇に小さな山小屋があった。
あれ?さっきこんなのあったっけ?
走ることに夢中になり、気がつかなかったのだろうか。
「おじいさん、ひとりで住んでいるの?」
私はおじいさんをおんぶし、山小屋の扉を開けて中に入った。
山小屋の中は1部屋で、小さなテーブルに2脚の椅子、大きな白い箱と赤い箱が1つずつと小さな黄色の箱が1つ、ベッドといった、至ってシンプルな部屋だった。2つの扉があるのでひょっとしたらそこはトイレとお風呂なのかもしれない。
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