なんでこうなった!?~転生初日~

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「……おぉ、すまん。そなたの食料を奪ってしまったな。えぇと、そなたの名前はなんじゃ」ドーナツのカスを口まわりにつけたおじいさんが申し訳なさそうに尋ねてきた。 「平坂 緒子羅。ドーナツはまた買えるし、いいけどさ。ここって日本のどこなの?私、家に帰りたいけどどうしたらいいのかわからなくて」 「ショコラか。歳はいくつじゃ?」 「17歳よ。先月が誕生日」  そう、誕生日にはお父さんがちょっとお高めの洋食店でディナーを予約してくれたのに……結局お父さんは仕事で間に合わず、お母さんとふたりで食べた。食後のデザートに食べたケーキ、あれ美味しかったなぁ…。 「そうか、ギリギリじゃの。すまん、そなたはしばらく帰れんぞぃ」 「はぁっ?」  何がギリギリ!? 「とりあえずショコラ、この紙袋と…食料が入っていた袋か何かを持っていたら、全部そこの白い箱に入れてくれるかの」  え?この白い箱、ゴミ箱なの?  私は言われるままにドーナツの紙袋と、鞄の中身を床にぶちまけて(いつのモノなのかわからない)いくつかのお菓子のゴミを白い箱に入れた。 「ほれ、それもじゃ」と水が僅かに残ったペットボトルと、昼食に食べたお母さん手作りの弁当の弁当箱を指さした。 「え、これ水はまだ残っているし、弁当箱は捨てないよ」 「誰が捨てるといった。さ、早う入れぃ」  ドーナツを食べて元気になったおじいさんが私を急かす。  私は渋々弁当箱とペットボトルも白い箱に入れ、扉を閉めた。
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