トイレ

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「あの」 「どうした?」 「何でもないです」 「何だね?」 「小川さんに彼女っていますか?」 「ずいぶん直接聞くね」 「知っておきたいので」 「いないよ」  そこで歩いていた道の十字路で真知子と別れて違う方向にそれぞれ進んだ。  次の日小川はアパートから出てすぐそばにあるコンビニに行きアルバイト誌を読もうとしたがなかった、というよりスマートフォンの検索で探した方が早いかなと考え直したのだった。部屋に戻りコンビニで買った菓子パンを食べてコーヒー牛乳を飲んだ。米はまだあったのでご飯は食べることができた。その日、大学は休講であった。家庭教師をしようかな、と彼は思いついたのだ。  大学講師に相談しようとしたが何かと面倒くさそうなので、近所の中学生に教えることにした。その中学生は国立高校を目指している秀才であった。  その男子は小川の自信のないことを質問するので、毎回その子に教えるたびに冷や汗をかいていた。  そんなことをして過ごしていたが大学には通っていた。真知子とはすぐに仲よくなったのだ。中学生だったら「ロリコン」と呼ばれてからかわれそうだが大学生にもなると一学年の差はむしろ普通なのだ。  真知子に会ったが、大学敷地内は広かった。高校とは大違いなのであった。 「幸せだな」などと小川は一人で真知子のことを恋人にしたらどうなるだろうかと想像していた。  そんな日々を送っていたが小川は結婚したくなった。相手は真知子であった。どうしてそうなったのかはわからないが真知子のテニスで鍛えた臀部を見ているとたまらない気持ちになってくるのだ。何と言えばいいのか? そんなことをしていたら我慢できなくなってしまった。発情ということなのだろうか?  小川は悩んだ。「オレは変態ではないのか?」  そんなことを打ち明けることのできる友達とはしばらく会っていなかった。  その友達に電話をかけてみたが留守なのだ。留守なのは本当なのかはわからないが彼は悩んでしまった。  真知子は付き合ってくれた。彼女との関係だけではなかった。家庭教師の中学生の受験シーズンに近くなってきた。国立高校受験日の朝に小川は生徒に会って「頑張れ」と声をかけた。  その子は見事合格した。何だやればできると思ってその勢いで真知子に告白したら真知子は「広瀬さんには恋人はいるの?」と言いはじめたので、彼はあせってしまった。
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