本当

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本当

俺は、大林へ怒りと、祖父への悲しさが込み上げてきた。 タカシ「大林ぃぃぃ!!!」 勢いよく大林の胸ぐらをつかみ、殴ろうとした。 大林は何もしなかった。 防御も、 攻撃も、 生気がなかった。 目はハイライトが入っていなく、どこを見ていているのかわからない。 朝何もセットしていないような、ぼさぼさの髪型。 顔には、左目の下に痛々しい切り傷があった。 全体的に暗く、40代の位のおじさんだった。 僕は、大林を何度も殴った。 これでも足りない。 おじいちゃんは、もっと苦しかっただろうに、、、! 「なにしてるんですか!?落ち着いてください、、!!!」 事務の女性に止められ、はっと正気を取り戻した。 そして俺は、聞いた。 タカシ「なぜ俺の、祖父を殺した、、、。」 大林「、、、、、。」 タカシ「なんで、五十嵐押を殺したかって聞いてんだよぉ!!!」 すると大林は、ジェットコースターのように勢いよく感情を取り戻し、 俺に泣きながらしがみつき、謝罪してきた。それはまるで、 俺へ謝罪じゃなく、五十嵐押への謝罪かのように。 大林「ごめん、、、ごめんごめん、、、五十嵐!お前は、俺のせいで、、! 俺だ、、、。ごめん五十嵐、、、!俺だ、、、俺なんだ、、、!」 そんな謝罪じゃ許されるわけないと思ったが、 彼の瞳は本当の涙があった。 本当の悲しんだ声だった。 大林は、自分のせいでおじいちゃんが死んだのだと知っていて、 その罪を完全に理解していた。 その瞬間、俺から怒りは消え去った。 大林は自分の助手をしてくれと、俺に頼んだ。 そうして僕は、助手をすることになった。
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