8人が本棚に入れています
本棚に追加
日常
2038年7月11日3:34 午後
警察官を復帰して、3ヶ月。
いまだに大林刑事のことは分からない。
今日は赤坂での殺人事件、犯人は被害者の兄らしい。
今からパトカーで現場に向かうところだ。
大林「乗れ。」
赤色灯が赤く光り、サイレンがうるさく鳴る。
相変わらず大林刑事は静かだ。
車で移動しているときは常に無言だ。
助手席に座り、スマホで本部からの連絡を見る。
そして、情報を大林刑事へ伝える。
タカシ「あ、被害者は40代女性です。」
大林「そうか。」
反応うっす、、、。
タカシ「玄関付近で殺害されたとのこと、凶器は刃物。」
大林「、、、。」
とうとう何にも言わないじゃん、、、。
1時間ほどして現場に到着した。
事件現場は赤坂の住宅街にある一軒家だ。
家へ入ろうとするが、ドアは開けっ放しだった。
大林「行くぞ。」
タカシ「、、、はい。」
玄関には死体があり、靴置き場や、棚に血痕が残っている。
残酷だ、、、。
穴井「あぁ、大林刑事お待ちしていました。」
鑑識官の穴井。
やめる前から仲が良かった鑑識官だ。
穴井「あ、タカシ検察官も。」
とってつけたように僕の名前を出す。
大林「鑑識官はもうお帰りください。後はやります。」
穴井は戸惑った顔で返事をし、帰った。
大林刑事は死体をじろじろと見ている。
いや、見ていない?
まるで、心の奥深くを見ているような。
確実に死体には焦点が合っていない。
大林刑事には僕には見えない何かが見えている。
才能ってやつか。
大林「彼女は、8:00に買い物へ行った。」
急に話し出す。
意味も分からないまま急いでメモを取る。
大林「そして、スーパーで友と会い談笑する。」
大林「しだいに話の内容は変わり、お金の話へと移る。」
大林「多分、借金だろう。」
大林「口論になるも、和解をして家へ帰った。」
もしこの内容が事件の内容だったら。
すごいことだ、何も証拠がないのに本当のことのように話し出す。
大林「しばらくして夫が帰ってくるが、友を連れてきていた。」
大林「その友はスーパーで口論した友だった。」
大林「そして、鋭いまなざしで被害者と夫を刃物で殺害。」
タカシ「それがこの事件の内容、ですか?」
大林「そうだ。」
この情報を本部へ提供する、と大林刑事は言った。
根拠もないのに提供していいのか?と疑問に思いながらパトカーに乗る。
大林刑事は特殊な力を持っている。
それは、人の記憶を見ることができるというものだ。
この世で最も危ない存在。
それは、化学では証明できない、得体の知れない者だ。
人間は得体の知れないものに対して恐怖を覚える。
幽霊だってそうだ。
UMAも、
超能力も、
大林刑事は大半の人間から避けられている。
少ないが、大林刑事と仲の良いものもいる。
そんなことを考えているうちに、本部へ着く。
大林「以上です。」
中山「なるほど、了解しました。」
中山「ありがとうございます!」
この人は中山巡査部長。
女性だが、力強い。
それに、可愛い。
見た目に反して、犯人には容赦がない。
いつもは、普通なんだけどね。
紫龍「おい、タカシ。」
タカシ「な、なんですか?」
紫龍警部だ。
結構怖い、けど。
紫龍「いまから猫カフェ行かねぇか?」
結構趣味がかわいい。
ギャップがすごい。
ヤクザみたいな顔して、趣味が可愛いんだよなぁ。
-----
紫龍「おぉ、お前可愛ぇのぉ!おりゃ!」
むっちゃ戯れてる。
むっちゃ笑顔。
普段怖いのにむっちゃ笑顔。
しかも猫集まりすぎじゃない!?
ほぼ埋まってるよ!?
紫龍「おうおう!かわえぇのぉ!!」
タカシ「そうですね~。」
楽しい時間はすぐすぎるものだ。
1時間なんて、もってのほかだ。
「お会計、1700¥になります。」
紫龍「おう、ありがとうございやした。」
チャリーン
タカシ「ごちそうさまでした。」
紫龍「いや、付き合ってくれてありがとうな。」
タカシ「それでは僕はここで!」
紫龍「おう、お疲れぇ!」
そんな感じで、朝は大林刑事と仕事。
帰りは紫龍さんと猫カフェへ通っている。
まぁ、前よりかは充実している人生だ。
しかし、友達への贖罪。
もし、自分のせいで友達が死んだとしたら。
いや、そんなことは考えないでおこう。
そうだ、14年前の事件について調べようかな。
大林一族連続殺人事件、、、か。
最初のコメントを投稿しよう!