家泣り

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寂しいことは他にもある、君のここ最近の口癖だ。 「やっぱり住むなら都会のほうがいいよね」 家族と話すときも、電話で友人と話すときも、必ずその話題が出てくる。私は実際に都会を見たことがないので、どれほど良いのかわからない。だけど君がそれほどまでに言うことだ、さぞ素晴らしいところなのだろう。会話に耳を傾けることしかできない私は自分自身にそう言いつけている。 ただ時より、君がその話をしていると。 「……また鳴った……」 「どうしたの? アリサちゃん」 「あぁ、鳴ったんだ。パキッて、なんて言ったっけコレ」 「家鳴り? 」 「そうそうイエナリ。小っちゃい頃から不思議だったんだよねぇ。私が1人で泣いてたりすると、よくこうなるの。リエちゃんはこう言うことない?」 「なかったけど……」 「そっか〜ワタシの家だけなのかなぁ」 話を終える君。スマホで何か調べると鼻を鳴らしながら文章を声に出した。 「家鳴りとは、気温や湿度によって乾燥していた木材が水分を含んで膨らんだり、水分が抜けて縮んだりする際にでる音のこと。昔は妖怪の仕業なんて言われてたんだ……」 一通り読み終えると、口を少し尖らせながら天井を見つめる。 「ワタシも小っちゃい頃、お化けの仕業だと思ってたしなぁ」 確かに君はそう言って怯えてた時があった。 「んでも、その後お母さんが、違うよお家が生きてるんだよって言ってくれたんだっけ」 そうそう、ヨウコがそう言ってから君は怯えなくなった。 「この音も聞けなくなるのか……ま、一人暮らしする家は新しいし、当然か」 その言葉を聞くと、どうにも複雑になる。これが寂しいという気持ちなのだろう。君はその後、何も言わずにそのままベットで眠りについた。
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