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いつか、どこかの世界で
「これは絶対に秘密だ」
「でも……」
「決して公には出来ない。従ってこれ以上のことを、お前に話すわけにはいかぬ」
「待って。それならこれだけは教えてください。一体、いつ約束をかなえてくれるのです。明日? それとも一年後? もしかしたら三年後?」
「何を言っておる。 そんなこと言えるわけがなかろう」
「あなたは言いました。
『これはふたりだけの秘密だ』
けれどもほかには誰も、その秘密の存在を知らないのです。あなたが約束を破っても、それを責める者もいない。まさか、あなたは私を騙し、私から全てを奪うつもりなのではありませんか?」
「フフフッ、鋭いではないか。或いはな……」
「そんな無責任な!」
「おまえの住む世界は理不尽に満ちていたであろう。だがな。それは、どこの世界でも同じ普遍の論理なのだ。さあ、みんな。早くこの女を連れていくがよい」
「待ってください。もう少し話をさせてください」
「さらば、さらば。今こそ別れめ。いざ、さらば」
「『中学一年の音楽』の楽曲をそのまま盗作しないでください」
「違う。これは私の自慢の作品だ。盗作などとは失礼千万。許さぬ」
「嘘つき。あなたなんか信じられない。放して、放して、放して~~~」
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