◆13

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「_まさか、こんな所で再会するとは思わなかった」 「俺もだ。…飛鷹はαだった筈だけど、そのネックガードを見るに転化したのか」 「…あれだけ、Ωを嫌いだって言ってた癖にこの様さ。笑いたかったら笑え」 「別に笑わないっての。あの人に惹かれたから決断したんだろ」  日愁さんの人柄に惹かれない訳が無い。確かに騒がしく暑苦しさも有るが、人の痛みを分かち合う事の出来る弟思いの善人だ。凍っていた飛鷹の心を溶かしたのだろう。  然し、こんなにも近くに転化をした人間が2人も居るなんて珍しい事もあったもんだ。 「日愁さんとはどこで?」 「俺がストーカー被害を受けてた時、助けてくれたんだよ。それから、何回か会う内に惹かれて…。俺は学生だから、未だ番えてねぇけどよ」 「そうなのか」  ストーカー被害_、誰とも関係を持っていなかったのを考えるに、一方的に好かれてしまったのだろう。飛鷹の容姿は整っているし、人当たりは良いから勘違いさせてしまったのかもしれないが、ストーカーして良い理由にはならないので反省してくれていると良いがな。 「話は終わったか、2人共!」  挨拶し終えた日愁さんが戻って来たのは良いが、後ろの永清は困り果てた様に深い溜息を吐いては頭を押さえていた。 「由凪を連れて行くが、大丈夫か?」 「はい。話は終わったんで大丈夫ですよ」 「そうか!お前を親父の元に連れて行かないと意味が無いからな!行くぞ、由凪!」 「ちょ、日愁さん!?」  まるで米俵を担ぐ様に抱き上げては部屋を出て行ってしまった日愁さん。飛鷹の扱いが少々心配だが、微かに感じた威嚇のフェロモンを考えるに随分と入れ込んでいるのだろう。  (気掛かりだったが、あの様子だと安心だな)
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