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「_恐らく、近々本格的な発情期(ヒート)を迎えますが、茜さんの場合今の今まで1度も訪れなかった分、強い発情(ヒート)を起こす可能性が有ります。身体にも負担が掛かると思います」 「そう、ですか⋯」 「失礼ですが、恋人や番候補の方は?」 「⋯一応、婚約者なら」 「こう言うのも医者としてどうかと思いますが、番われた方が身体的には負担は少ないかと」 「⋯考えてみます」  学校で倒れた翌日。私は学校を休んでΩ専門の病院へと来ていた。院内には当然Ωしか居らず、偶に付き添いでβや番が共に診察を待っている。  私の身体は突然の変化に追い付いてない様で、突然一時的に発情した状態となったとの事だ。  私の身体は確実に本来のΩの身体に変化している。これで私はΩとしての責務から逃れられなくなった。  (本当に神は居ないのですね_)  いや、分かっていた筈だ。どれだけ助けを求めても神様は助けてくれなかった。  父親から暴力を受けている母さんを助けてと、何度も願ったのに助けてくれはしなかった。助けてくれたのは母さんと組長達だった。  私はこれから先、発情の苦しさに耐えなければならない。番えるのが1番だが、私は番えるのが恐ろしくて仕方が無いのだ。  抱かれるとなれば、あの時の事を思い出してしまうだろう。そうなれば、私は拒絶してしまう可能性が有る。  それで相手を傷付け嫌われたら_?いや、今でも好かれてるとは思わないけれど。 「⋯これから、どうしたら⋯」  今後の事を考えながら、病院から出ると向かい側に有るコンビニに蕪木君が居るのに気付いた。あちらも気付いたのか慌ててこちらに駆け寄って来た。 「何故此処に⋯」 「心配で早退して来ました。体調は大丈夫ですか?」 「それは大丈夫ですが⋯。そんなに心配せずとも良いのに⋯」  私は決して好かれるような事をしている訳では無い。けれど、蕪木君は私の事を嫌ったりせず心の底から心配してくれている。  運命の番と分かる前からずっと、どんなに壁作っても何も言わず傍に居てくれている。  (そんな君だから、より番たくないんです)
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