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 αには気が強く、知能が高くエリート気質の為かプライドが高い人間が多い。なので、α同士の付き合いや結婚は上手くいかない事が多いのだ。まぁ、結局はΩのフェロモンに誘引されるのでαやβとは結婚出来ないのだが。  俺の場合は、Ωと番わなくとも問題が無いので第2の性は関係無しに付き合えるし結婚出来るのだ。 「君は本当に可笑しな子ですね。早々に逃げ出すと思ったのですけどね」 「そうっすか。帰りましょう、茜さん」 「…そうですね」  俺達は茜家の離れに同居している。  若衆達も立ち入る事は禁止され、離れに入るのは実質俺達二人だけである。家具や日用品等も揃えてくれた上に、生活費も出してくれている様だ。勿論、こちらも出すと言っていたのだが、頑なに断られたらしい。そこは無理矢理懐に押し込めと親父に言ったが、本人はヘラヘラしていたが。 「茜さんのネックガード、傷付いてますね。新しいの買いますか?」  着替えを手伝っている時、茜さんのネックガードに傷が付いているのに気が付いた。Ωのネックガードはロックが掛かっており、本人以外は取る事は出来ない。番になったΩはパートナー以外のαを誘引するフェロモンを発さないが、番が居ると分かるように専用のネックガードをしている。今の世の中、番専用のアクセサリーショップが有り、揃いのリングが付いた物等が売っているらしい。 「そうですね。君が選んでくれますか?」 「え、俺っすか?番でも無いのに俺が選んで良いんすか?」 「婚約者ですし。言い寄って来る人が減りますでしょう?まぁ、君が良ければですが」 「…茜さんが良いなら選びますけど…。センス無いんで変なのになっても知りませんからね」  俺はそう云うセンスが皆無なので、私服は幼馴染に選んで貰っていた。好みが特に有る訳では無いので着れれば何でも良いタイプなのだ。  茜さんが着けるのだから、適当に選ぶ訳にはいかないだろう。俺は幼馴染と共に店に行こうと考え連絡を入れておいた。  それにしても、番える気は無い上に壁を作っている茜さんがまさかネックガードを俺に選ばせるとは思いもしなかった。何を考えているか分からないのが正直な話である。  たまに苛立つ事が有るが嫌いでは無いので別に同居を解消する気も無いし、このまま番わなくとも結婚しても良いと思っている。
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