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『_ごめんね、ごめんね⋯、永清⋯っ』  ずっと、母さんは私に謝っていた。  自分の方が父親から暴力を振るわれて、痛い思いをしていたのにただ見ているだけで助けられ無かった私に死ぬ迄ずっと謝り続けていた。  運命の番だったにも関わらず、他に女を作って裏切った挙句に手を挙げていた父親が憎くて憎くて仕方が無かった。けれど、Ωで非力な私には何も出来なかった。 「_ん、」  ふと、目を覚ますと手を握って眠る遙君の姿が見えた。  男に服を破られ、触られている時に銃声が鳴ったのは覚えているがその後の記憶は無い。遙君に怪我無いのを見るに、助けに来てくれたのだろう。 「⋯ん⋯、永清さん⋯?」 「ご迷惑お掛けしましたね、遙君」 「_っ、済みませんでした!」  目を覚ますと、その場に土下座をして額を畳に叩き付けた遙君。  私は驚いては、辞めるように手を伸ばしたのだが遙君の声に遮られた。 「護衛の癖に守れなかった⋯!永清さんを苦しめてしまった⋯。本当に情けないです⋯っ」 「遙君の所為では有りませんよ。そんな気に病まないで下さい」  私は今にも泣きそうな遙君の頬を撫でては抱き締めた。抑制剤を打ってくれたのか落ち着いていたが、遙君に触れてまた身体に熱が帯び始めた。 「ん、」  口付けをしながら布団に倒れ込んだ私達。折角着替えさせてくれた服も乱れ、大きな手が肌を撫でる。 「あ、そう言えばゴム⋯、持ってないです」  ハッと思い出しては、落ち込む遙君に思わず笑みが零れた私。  机の隣に有る棚を指差しては引き出しを開けさせると、中には新品のゴムの箱が入っていた。
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