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 そんな事を考えながら離れへと向かった。  茜さんは着替えを終え、着物姿で縁側に座っては涼んでいる様だが何処か不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。 「どうしたんです、そんな眉間に皺を寄せて」 「…ただ面倒だと思いまして。見合いなど性に合いません」 「断れば良かったのでは?…それか俺が変わりましょうか」 「それは_、無理でしょう。身長差だって有りますし」  確かに身長差が有り過ぎて誤魔化せないだろう。俺よりも茜さんの方が10cm程高い。然もメイクをした所で顔立ちが違うので直ぐバレるに決まっている。 「相手は恐らく私を番わせる事が目的なのでしょう。茜組の事を面白く思っていない者も多いですからね」 「番わせる、って…」 「未だに発情期を迎えていないと言えど、強制的に発情させる薬を飲ませれば変化が有るかもしれないのでね。…番えても相手を殺せば良い話ですが」  番えた場合、Ωから解消は出来ない。αが解消するか、死ぬかしなければ番のままなのでどんな相手だろうと離れる事は出来ないのだ。もしも、茜さんが無理矢理番えても殺す事が可能だろう。 「わざと番えるのは止めて下さいよ」 「そんな事しませんよ。何で進んで番えないといけないんですか。死んでも御免ですね」  声に含まれた嫌悪感。  やはり、αを嫌っているのは間違いない様だが俺からすれば番える可能性が低いと分かり少し落ち込む。いや、好きでも無いのに落ち込む必要は無いのだが?  こんなんじゃ、一方的に好きみたいじゃないか。それを認めたら俺の負けな気がしてならない。 「…Ωでなければ良かったのですがね…。まぁ、たらればの話ですけど」  この第2の性が無ければ、Ω達は苦しまずに生きる事が出来ただろう。望んでいないのに発情しフェロモンを発してはαを誘引してしまう。そして、一部ではΩは売買されたりと人間扱いをされていない者も居るのだから、Ωと診断されたら絶望するだろう。  今の時代は漸くΩも生きやすくなっているが、それは一部分だけだろう。就職や住居等が出来ない所も有るので、まだまだ生き辛い世の中だ。 「アンタの代わりになれれば良いんですけどね」  もしも変わる事が出来るのならば、俺は茜さんと変わっていただろう。俺は別にαで良かったと思っていないので変わる事に抵抗は無い。  αがΩに、βがΩに転化する事例も有る事は有るが、Ωからβ、αに転化する事は無い。Ωは一生Ωのまま、良き番に巡り合えるのを願いながら生き死んでいくのだ。
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