◆11

4/5
前へ
/117ページ
次へ
「何も言わずに帰ったから誤解しているのですよね?済みません、お邪魔かと思って先に帰ったんです。後、財布を忘れていたので取りに」 「そ、そうなのか⋯。てっきり、あの女の言葉に傷付いたのかと⋯」 「Ωらしくない何て自覚してますよ。Ωは大抵可愛らしく、守りたいと思う様な人が多いですからね」 「はぁ?永清は1番可愛いですけど?」 「止めて下さい」  抱き締める俺の胸を嫌そうに押しては、「買い物行きますよ」と手を引いて歩き出した永清。  本当に傷付いていないのだろうか。それなら良いのだが、どうにもあの女が言った言葉が許せない。もし男だったら確実に殴っていた。 「でも、少し不安になりましたね。⋯可愛い子が居ても揺るがないで下さいね?私、遙君が離れて行ってしまったら⋯、殺してしまうかもしれませんよ?」  笑みを浮かべているが、最後の言葉は本気だと直ぐ理解出来た。  俺は永清を傷付けたくない。永清の父親の様な事は絶対しないが、過去を思い出させてしまう行動は避けたい。  だが、永清から独占欲を向けられるのは良いものだ。  (永清に殺されるなら大歓迎だけど_、なんて)
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

772人が本棚に入れています
本棚に追加