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 夏休みから数ヶ月。あの溶ける位の暑さはやっと無くなり、紅葉が街を彩り始めていた。  もう直ぐ文化祭が始まる時期で、クラスの出し物は和風喫茶店と云う事になった。当日は和服を着て接客する事になるらしく、俺は接客を景介は調理の方を担当する事になった。俺は別に接客したくないのだが、女子生徒の強い希望が有りやる羽目に。 「永清達は何するんだ?」 「私達のクラスは君達と同じ喫茶店ですよ」 「へぇ。で、永清は何すんの?」 「接客ですよ。皆さん女装、男装する事になったので衣装の調達が大変そうです」 「え、女装すんの!?俺反対ですけど!」  永清のクラスも喫茶店をするそうだが、まさかの女装をする何て俺は絶対に許可出来ないのだが。何で他の奴らに永清の可愛い姿を見せないといけないんだクソ。 「そんな露出の多い物では有りませんよ。確か私はロング丈のメイド服だった気が…」 「メイド服…」  メイド服が似合わない訳が無い。似合うからこそ他人には見て欲しく無いのだが、本人が嫌がっていないので無理矢理止める訳にはいかないだろう。 「鹿島さん、何か有ったら絶対に守って下さいね」 「わぁ、すげぇ圧」  万が一の事を考えて鹿島さんにお願いしたついでに、写真送ってと密かに頼んだ。永清にはバレない様に頼んだのに即座に鹿島さんにバラされ、若干引かれたのは言うまでもない。
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