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 文化祭当日、俺と永清は同じ時間位に終わる様にシフトを調整して貰い、昼頃までクラスの出し物に集中した。  生徒の家族や他校生達が予想以上に来てはほぼ動きっぱなしの状態で、早くも永清の元に行きたい。 「凄い人だね。これも遙効果かな」 「何でだよ」 「あ、自覚無いのね。大半のお客さんは君を目当てに来てるみたいだけど?」 「そんな訳あるか」 「良い加減、自分の顔が整ってるの自覚したら?」  そう景介に呆れられては注文品を渡された俺は客の元へと向かった。和服も着慣れていないのでもう脱ぎたくなって来た。シフトが終わったら着替えるかと考え、交代時間まで無心で働いた。 「お疲れ様、蕪木君」 「お疲れ」  交代時間になり、直ぐ制服に着替えた俺は景介と共に2人の教室へと向かった。三年のフロアは何故か人が多く騒がしい。然も、その場に居る奴らの視線の先には2人の教室が有る。  何か有ったのかと考えていると、何かが割れる音と悲鳴が聞こえては慌てて駆け寄ると、教室の中では丁度良く首に蹴りを入れようとする永清の姿が有った。 「永清!」  名を呼ぶとピタッと動きが止まり、蹴られ掛けた男はその場にへたり込んだ。  永清の後ろには怯えたΩの女子生徒が立っており、衣装にはコーヒーを掛けられた跡が有り、その横ではチャイナ服を着た鹿島さんが男の仲間と思われる奴を踏み付けていた。本当に異様な光景である。
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