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宴会が始めると、本邸は本当に賑やかになり立場関係無く無礼講の飲み会になった。勿論俺達は呑めないが、日愁さんは驚く程の酒豪でまるでジュースの様に呑んでいるではないか。
「凄いな、日愁さん…」
「組長似なんですよ。組長も結構呑みますから」
「はぁ…」
気持ちいい呑みっぷりに感動していると、横では永清が楽しいそうに飛鷹と話し始めた。此処にはΩが居ないので永清からすれば同じΩ同士話せて嬉しいのだろう。まるで女子の会話の様に花を咲かせていて可愛らしいが、その内お互いのαの愚痴を言い合いそうで少し恐ろしい。
そんな事を考えながら、グラスに入った水を一気に飲んだのだが「それ水じゃない」と云う声が聞こえた。
「何、お酒を飲んでるんですか!」
上手く働かない思考に身体はふわふわとしていて心地良い。心配そうに顔を覗き込む永清がいつも以上に可愛らしくて仕方が無く、手を伸ばしてはこちらに顔を引き寄せては口に噛み付いた。
「ヒュ〜、若いね〜!」
間違えてお酒を呑んでは酔っ払った遙君に噛み付かれて、ヒリヒリとする口を擦りながら抱き上げた私は部屋を出ては自室へと運んだ。運んでいる間もヘラヘラしていたので軽く頬を抓ると雑にベッドに下ろしては笑いながら眠る遙君の額にキスをして大広間へと戻った。
「_済みませんでした」
目が覚めたのは年明け数分前で、自分が酒を間違えて呑んでは酔っ払った挙句に永清の口に噛み付いた事を思い出しては呆れる永清に土下座をしていた。
「別に怪我はしてませんし良いですけど、皆の前でされるとは思いませんでした」
「…本当に、その…、済みません」
「ほら、もう怒ってませんので顔を上げて下さい」
恐る恐る顔を上げると、永清の顔は目の前に有り唇が重なっていた。唇が離れると同時に大広間から年が明けた事を知らせる鐘の音が聞こえた。
「明けましておめでとう御座います。今年も宜しく御願いしますね?」
「…う」
「え、遙君!?」
月明かりに照らされた永清の姿が余りに神々しく、未だ抜けきっていなかった酔いも有りそのまま胸を押さえて後ろに倒れて新年を迎えた俺だった。
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