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「俺、その任務から辞退したい」 「それは出来ませんけど、何故そんなに嫌そうに⋯。やはり犬猿の仲というのは事実なのですね」 「まぁ、実際に会ってみれば分かる」  理戸さんの来訪は休日の昼前になり先に組長への挨拶を終わらせては、客間で待つ私達の元へ現れた。 「悪いな、待たして」  現れた理戸さんは数年前に会った頃の幼さは無く、本当に綺麗で和服が似合う女性になっていた。 「暫く会わない内にいい男になって。⋯それに対してお前は黙ってればいい男なのになぁ、遙」 「永清さんに手出すなよ糞アマ」 「どつき回すぞ」  目が合った途端、両者の間に火花が散った気がした。  人に興味が無いと言っても、女性相手にこんな口の利き方をしない遙君が相当口が悪い。普通ならどんな相手でも理戸さんを敬う筈だけれど⋯。 「相変わらずだな。私に対してそんな態度を取るのはお前だけだぞ」 「アンタが堅苦しいのが嫌だと言ったんだろうが」 「限度というのを知らねぇんか」  犬猿の仲、というよりもまるで姉弟の様な関係に見える2人。そんな姿を見て、胸がスっと楽になった気がした。 「お前達に頼るつもりは無かったんだが、私は土地勘が無くてな。番も観光したいと言っていたからから仕方が無く」 「番、ですか⋯?理戸さん、番が居らっしゃるんですか?」  幾ら跡を継ぐ事は無いと言えど、理戸さん程の人に番が出来ればこちらにも情報が入る筈だが、全くそんな話入ってきていない。  
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