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「つい最近番えたんだ。ほれ、挨拶しろ愬良」
廊下で待機していたのか名を呼ばれ現れたのはスーツを着た男で、首元からはネックガードに付いたリボンが垂れている。それがまるでリードの様に見えてしまう。
「⋯和泉愬良」
表情1つ変えずにただ名前だけを呟いた和泉さんだったが、その垂れたリボンを理戸さんに引っ張られ顔を歪めた。
「コイツは元々、敵対してた組の人間でな。私を殺しに来た所を捕らえた」
確か半年前にそんな話がこちらに入って来ていたが、まさか番が自身を殺しに来た人間とは驚きだ。
昔から何を考えているか分からない人だったが、本当に常人では無い。私の様な人間が言える立場では無いが_。
「だから、そんなリードみたいなの着けさせてんの?趣味悪っ」
「はぁ?可愛いだろうがよ」
私達を置いて睨み合う2人。和泉さんの方を見ると、鋭い視線を2人に向けていた。
未だ隙を見て理戸さんを殺そうと考えているのかと思ったが、その視線は遙君に注がれている。
理戸さんは本当に常人では無い。
この世界で生きている限り、命を狙われる事は少なくないのだが、それをどこか望んでいる様に感じるのだ。快楽等では無く、痛みや命の危機に興奮している変態にしか思えない。
(この人に捕まるとは災難ですね。いや、もう逃げるには遅いですかね_)
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