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何か叩き割られる様な音がしたかと思えば、銃声が聞こえ俺達は急いで中へと入った。
襖を開ければ、そこには頬から血を流した茜さんと転がる男達の姿が有った。
足元にはあちら側の拳銃が転がり、茜さんが持つ銃は見合い相手の額に向けられていた。
「茜組と皇組は和解する事無く、貴方達を解散させます。貴方達の悪行を全て調べ上げた後、組長が処罰を与えるでしょう」
「っ、は!お前達にそんな力有るのか?!組長は健在だが、お前はΩで跡を継げないんだろ!この代で終わりだ終わり!Ωの癖に発情しない欠陥品が!!」
茜さんがそんな男を打つ前に、俺の身体は勝手に動き男の顔を蹴り飛ばしていた。
吹っ飛んで気絶していたが、先程の発言に苛立った俺はお構い無しに殴ろうと考えたが茜さんに肩を掴まれ静止させられた。
「止めて下さい。もう気絶してますよ」
「でも、」
「私は大丈夫なので。さ、皆さんはこの方達を捕えて運んで下さい。その後は組長に指示を仰いで下さい」
何事も無かった様に指示をしては、着崩れた着物を治す茜さんの頬は銃弾が掠った様で壁に銃痕が有った。
壁側には湯呑みが割れて散らばっているのに気付き、先程の音はこの湯呑みが割れる音だったのだと理解した。
それよりも早く茜さんの手当てをしなければと考えた矢先、ふらりと身体が傾きその場にしゃがみ込んだ茜さん。
慌てて駆け寄ると、ふわり何処からか甘い匂いが鼻を掠めた。
_ドクン
「⋯、この匂いは⋯?」
匂いを嗅いだ瞬間、大きく胸打った。身体に熱が帯び、喉が渇く異常さに戸惑っていると、茜さんの様子が可笑しい事に気付いた。
「っ、」
身体は熱を帯び、荒い呼吸をしては胸を抑える姿を見て瞬時に茜さんから離れた。
この匂いの正体を理解したのだ。この匂いは茜さんのフェロモンの匂いだ_。
未だに発情期を迎えてなかった茜さんが何故突然発情しているのか分からないが、この状態はお互いに不味い状態である。
今までΩのフェロモンに反応しなかったにも関わらず、俺は今茜さんのフェロモンに当てられている。
これが何を意味するか、俺は知っている。
(茜さんは、俺の“運命”だ_!)
俺の体質上、フェロモンに身体が反応するのは相手が運命の番のみ。となれば、茜さんが運命の相手となる。
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